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第278話 

「気持ち悪がらせるのが狙いなんだからね!」と遠藤花は甘えながら彼の袖を引っ張った。「お兄ちゃん、私たちもう運命共同体なんだから。もし親父にバレたら、あなたも共犯だって言っちゃうからね!」

遠藤西也は眉をひそめた。「俺が手を貸してやってるのに、脅してくるとはな、お前って本当に恩知らずだよな」

「いいじゃないの、兄貴!同じ船に乗ってるんだもん!」彼女は彼の腰に腕を回し、頭を肩に乗せた。「これからは何があっても、兄貴のために力になるから。何か私にできることがあったら言ってね、どんなことでも手伝うよ!」

「ほう?それならちょうど頼みたいことがあるんだがな」と西也が言うと、花は目を輝かせて悪戯っぽくウインクした。

「どんなこと?言ってみて!」

西也は彼女を冷たく見下ろしながら、「俺に近寄るな。なるべく遠くに離れてくれ。外でも兄妹だなんて言わないで、赤の他人のふりをしてくれ」

花は驚いた顔で、「兄貴、もしかして本気で私と縁を切るつもり?」と尋ねた。

「できることなら、な」西也が微笑んだ。

「兄貴、私はあんたの可愛い妹なのに!私たち、運命共同体だってば!」

遠藤花はしつこく言い寄り、絶対に西也の言葉を真に受けるつもりはなかった。

仮に本気で縁を切りたがっていても、彼女はしぶとくしがみつくつもりだった。

こんな頼りになるお金持ちの兄を、どうしても手放すつもりはない。

花は彼の腕にしがみついて、大きく揺さぶった。

西也はたまらず腕を引き抜き、「わかった、少し寝たいんだ。もう出て行けよ。まだ早いんだから」

彼は半分眠りながらベッドに戻ろうとしたが、花がニヤニヤしながら言った。「兄貴、昨日若子と話してたんだよ。兄貴の話も出たわよ?」

西也は一瞬で目を見開き、ベッドから勢いよく起き上がり、真剣な表情になった。「何を話したんだ?」

花は手を後ろに組み、少し顎を上げて、まるで優位に立ったかのように鼻で笑った。「あんたが出て行けって言うから、行くわ。バイバイ」

そう言って花が背を向けようとした瞬間、西也は彼女の手首をつかみ、強引に引き戻した。

眉をひそめ、冷たい表情で強く見つめた。「話せ。何を話したんだ?俺の悪口でも言ったのか?俺を悪者にしたんじゃないだろうな?」

西也の視線は、まるで容疑者を尋問する刑事のように冷ややかで鋭かった。

「誰も悪者扱いなんかし
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